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ダッチオーブンの世界①

 今回はキャンプを趣味とされている方、キャンプに興味を持っている方はおそらくご存じであろう「ダッチオーブン」についての記事となります。ダッチオーブンの購入をご検討中の方、持っているけどあまり活用できていないという方の参考になればと思います。

 

 さて、はじめに「ダッチオーブン」とは何ぞや?というところからスタート。「ダッチオーブン」とは蓋つきの鋳鉄製の鍋(素材については次回)で、アメリカ西部開拓時代に普及した調理器具です。

 これ一つで『焼く・炒める・煮る・蒸す・揚げる』といったように、幅広い料理方法に対応する万能の調理器具です。名前の由来については諸説ございますので、いくつかご紹介。


 1 つ目の説は、イギリスの製鉄業者であるエイブラハム ・ダービーの鋳鉄鍋に由来するというもの。ダッチオーブンは、金属鍋を鋳造するオランダ(Dutch)の製法を使用して作られました。オランダでは、乾燥した砂の型で真鍮の容器を鋳造しており、この製鉄法を学んだダービーはイギリスに戻ると、この製法を実験し、より優れた鋳型砂を使用した鋳造法と、鋳型の滑らかさを向上させるために型を焼く製法の特許を取得しました。最終的に、彼は大量の鍋を鋳造し、新しい植民地など世界中に出荷するようになりました。この説によると、「ダッチオーブン」という名は、ダービーがオランダで学んだ元々の金属鋳造工程に由来しているとのことです。


 2番目の説は、初期のオランダ人貿易業者やセールスマンが、これら新しく製造された鋳鉄製の鍋、または「オーブン」を売り歩いていたことから「ダッチオーブン」という名前が付けられたというものです。


もう1つの一般的な説は、ペンシルベニア地域のオランダ人入植者が鋳鉄製の鍋/ケトルを持ち込んだことからダッチオーブンという名が付けられたというものです。


いずれの説においても、その名が冠されている「Dutch(オランダ)」に由来があることに間違いはないようです。

 

 かように、ダッチオーブンの歴史は古く、アメリカの西部開拓期を描いたドラマ「大草原の小さな家」←知ってる人はもはや少数派かも・・・やカウボーイ映画の劇中に登場することもあり、「あぁ、あの鍋のことか」と思い当たった人もいるのでは?


 それではこの無骨な鉄鍋がキャンパーに愛される理由は何でしょうか? 


① 純粋に調理器具として優れていること

 鍋に食材をいれて、あとは火にかけて放置するだけ。こんなズボラな調理法であってもダッチオーブンが美味しい料理に仕上げてくれるのです。また、ダッチオーブンの真骨頂はその名のとおり、蓋の上に炭を置き、上下から熱を加えてパンやピザ、丸鶏のローストなど、上火を使ったオーブン料理を楽しめることです。さらには、重たい蓋のおかげで圧力鍋のような効果も発揮。「ダッチオーブンを所有することは一流の料理人を雇っているのと同じこと」と言われる所以です。


ウォーターシール機能・・・加熱され食材からの水分が蒸気となって出てくると鍋の中に充満し、ふたと本体とのわずかな隙間を埋め、さらに密閉されます。これをウォーターシール機能と言い、これにより、圧力なべと同じような効果が生まれます。


② ただただ無骨であり、ギアとしての魅力に溢れていること

 あたかも野外での料理を行うために作られたのでは?と言わんばかりにワイルドであること。焚火がこれほど似合う調理器具はダッチオーブンをおいて他にはないでしょう。


③ 使うほどに愛着がわく道具であること

 鋳鉄製のダッチオーブンであれば、使えば使うほどに油が馴染み、食材がくっつきにくくなります。使い込まれて黒光りしたダッチオーブンは「ブラックポット」と呼ばれます。美しく育ったダッチオーブンで作る料理はキャンプ補正も加わって格別の味です。


 個人的な主観も多く含まれていますが、まさに「機能は美に宿る、その逆も真なり」を体現した道具。キャンパーに愛される理由も納得です。様々な調理器具の中でも「育てる楽しみ」を感じることができるのはダッチオーブンくらいではないでしょうか?

 


 最後に、ダッチオーブンへの興味をさらに深めるエピソードをご紹介。


 Their versatility and durability made Dutch Ovens so valuable in the 18th and 19th centuries that they were often listed in peoples’ wills. Mary Ball Washington, President George Washington’s mother, allocated her “iron kitchen furniture” (which was several Dutch Ovens) to two of her grandchildren. She left half to her grandson, Fielding Lewis, and the other half to her granddaughter Betty Carter.

 ダッチオーブンは、その多用途性と耐久性により、18世紀から19世紀にかけて非常に価値のあるものであり、しばしば人々の遺言書に記載されることがありました。ジョージ・ワシントン大統領の母親である、メアリー・ボール・ワシントンは、自分の「鉄のキッチン道具」(ダッチオーブン数個)を二人の孫に割り当てました。半分を孫のフィールディング・ルイスに、もう半分を孫娘のベティ・カーターに残しました。


 いかがだったでしょうか?祖父母から孫に譲り渡される調理器具。使い込むことにより一生モノの道具となり、家族の歴史とともに代々引き継がれていくダッチオーブン。ぜひ皆さまもお試しあれ!




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